こんな根っからのamazonユーザーだけれどUnlimited読み放題は頂けないと思っている。 雑誌等を見る目的なら良いのかもしれないが、PaperwhiteはモノクロのE-inkだし、文芸の品揃えははっきり言って悪い。 古典系はある。が、現代作家は本当に少ない。まぁ新刊を安く買われたら出版社も成り立たないのかもしれないが。
なのでUnlimited対象はほとんど読んでおらず、ハリーポッターくらいだったのだが、先月タイトルが気になってダウンロードした山彦が思いのほか良かった。 あとがきで述べられる著者の策略?に見事にはまってしまったようなものだが。
話は新潟を舞台にした、山を放浪する山の民ヤツカハギをテーマとしたミステリー&ファンタジー。 新潟文楽書房(ヤマダマコト)がKDPにてセルフパブリッシングしている作品。 弥彦神社や間瀬、スノーピークの下田と訪れたことのある地域が出てくるため雰囲気を思い浮かべられることもあるが、よく練られたプロットに複数視点でのリズム感の良さ、取材によるリアリティなど本当に大手出版社系でデビューしていないの?というものだった。 まぁ多少強引な(著者曰くアクロバティックな)展開もあり、著者のメッセージが表に出てきすぎている面もあるが、音楽も然り、それがインディーズの良さでもある。 新潟に住んだこともないし親族がいるわけでもないけれど、スノーピークの本社や弥彦山など行って損のない場所があるので、読んでからでも読む前でも一度訪れると更に楽しめる作品だと思う。
そろそろ冬も終わり雪もとけてきたが、たまに新雪に人の足跡が残っていることがある。 一人分のこともあれば複数のこともあり、恐らく冬山トレッキングかとは思うが、もしかしたら山の民のものなのかもしれない。 と、変わらぬ山の中の日常に違った視線を与えてくれるので、読書はやめられない。