高地にある家屋の湿度対策

高地(標高950mほど)に住んで驚いたことのひとつに湿度の高さがある。
周りが開けた高原は別として山の中はジメジメとしているイメージはあったが、雨ではなくとも室内が80%を超えることもある。
平地に住んでいる頃は加湿器を使っていたが、冬場でも50%台なのでほぼいらない。
これだけ湿度が高いとカビが心配になるが、それほど広い家でもないし住んでいることもあり、人の生活で空気も動くのでカビには悩まされていない。
それにしても、木造家屋にとっては良い環境とも言えないので多少対策を施した。

高地で湿度が高い理由

まず、高地で湿度が高くなる理由に”気温が低いから”ということが挙げられる。
標高が100m上がるごとに大体0.6℃ほど気温は下がる。気温が低いほど空気中の飽和水蒸気量が小さくなり水となるので、標高が高いところほど湿度は高くなる。
また、生い茂る木々や葉により、地表に太陽光が届かず、風も通らず地表の水分が蒸発しない。
低地から流入する空気にもよる。

屋外対策

湿度が高い理由を調べてみて自然環境の必然でしかないことが分かった。
ということは、多少なりとも人の手を加えれば改善される余地はあるということだ。

木々の剪定

そこでまずは太陽光が地表に届くように自然のまま放置されていた木々を剪定する。
と言っても、高さがありすぎてとてもではないが届かないため、家の周囲の高枝切鋏で届く範囲で、という限定的なものになるが。
高枝切鋏は収穫用でもないし、太い枝もあるのでノコギリ付きが便利。

家の周りの掃除

山の中となると落ち葉が凄い。
特に別荘の裏手などでは葉を積もったままにして腐葉土状態となってしまっているところも多いだろう。
折角太陽光を引き込んでも、引き込んだにしても弱々しい光なので、これでは全く湿気が抜けない。
量が量なので大変ではあるが、これはどうしようもないので竹箒とスコップで小まめに取り除くしかない。

水はけ

家の裏手は光が当たらないので、兎に角水を出来るだけ抜くしかない。
超簡易的だがスコップで勾配を付けた幅10cm・深さ10cmほどの溝を堀り砕石で埋めてみた。
また斜面に建つ別荘などは鉄骨で支えているものもあるが、何れにしても床下は地表が剥き出しになっていることが多い。
土は水分を多く含むので、これは湿度対策というよりは地盤補強の意味合いが強いが、地表をコンクリートで覆った。
コンクリートに含まれる水分が抜けるまでは逆に湿度が上がる可能性はあるが、長い目でみれば補強と湿度対策という一石二鳥ではないかな。
多少お金は掛かるが…。

以上で、室内の湿度計での大雑把な計測だが平均で3〜5%ほど下がる。

床下換気扇は不要

そもそも環境からして湿度が高いことが平常であるので、やってもやってもきりがないのだが、床下換気扇なるものを見つけて工務店勤務の知人に相談。
しかし返ってきた答えは「不要」。
高湿環境なので床下換気扇は常時稼働させておかないと効果が薄く、常時稼働のためモーターなどの劣化が早くメンテナンスコストが掛かる。
また雪に埋まる可能性もある。
今のところ、床下などの腐食もないし空気の循環はされているのでそこまでする必要はないようだ。

床下調湿剤は無意味

知人に合わせてホームセンターで見つけていた床下調湿剤についても聞いてみたが、「吸った水分をいつ吐き出すつもりなの」というご尤もな意見。
確かに陽も当たらず、風も通らない森の中の家屋の床下に入れても水分を保持したまま抜ける暇がない。

屋内対策

屋内対策は換気の他ない。
窓を開けたり、換気扇を回したり、シーリングファンを回したりと空気を循環させる。
実際、これだけで80%もの高湿環境の中、カビは発生していない。

ただ。
山の天気はころころ変わり霧も多いので、洗濯物を部屋干しにすることも多いが如何せんこれが乾かない。
これには弱り、結局、除湿機を購入した。
別荘などには家全体用の大型の除湿機が備えられているところもあるのだろうが、主に洗濯物用なので衣類乾燥除湿機。
除湿機には、コンプレッサー式・デシカント式、これら2つを合わせたハイブリッド式とあるが、平均気温が低く冬場でも使う可能性があるのでデシカント式のものを。
小さい部屋に洗濯物のために使うので、木造7畳用のこの製品。

若干、期待していたより除湿能力が足りないが十分ではある。

エアコンや換気扇をリモートで操作する

都心で生活していた頃の夏場に大活躍していたのだが、ネット経由でスマホからエアコンを操作できるデバイスがある。
別荘など不在が多い建物では、これでリモートでエアコンを操作して、室内の空気を循環させればカビの発生を抑えられるかもしれない。

スマホからネット経由で赤外線リモコン家電を操作するものなので、テレビやシーリングライトなども操作可能なため、防犯対策にもなる。
換気扇などの電源のON/OFFだけで良ければ次のものが良さそう。

タイマー機能に曜日や時間のスケジュール機能もあり、稼働ログも残るので、ちゃんと稼働しているか不安になることもない。

山の中での生活は自然環境の厳しさとそれを工夫して住みやすい環境を生んできた人間の知恵を、車輪の再発明的だが、実感できるので中々面白い。
飽和水蒸気量なんて言葉も中学生以来に思い出したし。

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